宝島(1950年の映画)

宝島(1950年の映画)

宝島(1950年の映画)のレビュー・評価・感想

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宝島(1950年の映画)
10

最高の魅力を見せる悪役

宝島は本でも読んだことがなく初めての視聴であったが、物語の作りこみに見入ってしまった。舞台は大きなセットで作られており、1950年に制作されたにも関わらずキャラクターの個性と思想をわかりやすく理解することができた。
中でも悪役の「ジョン・シルバー」がはまり役で、ほぼ主役といった立ち位置を見せている。彼の表情や声のトーン、話し方はほかに類を見ないもので一番魅力的な悪役として印象に残った。悪には違いないが、彼の中の正義感や自己中心的な思想が天才的な頭で繰り広げられているさまは、観る側にとって全く退屈しないものであった。
他作品において、ドラマなどでかつて敵だったものが仲間になり協力して問題を解決していく展開はファンにとってとても熱い展開になるのだが、ジョン・シルバーはそういうわけではなく、常に一人の世界の中で陣を行き来していた。行っている様は残酷なはずなのにどことなく根が優しい人間だというオーラを常に放つジョン・シルバーに私はすぐにファンになってしまった。
この時代の作品を見たのはこれが最初であるが、このクオリティと作りこみであれば同年代の他作品も手を付けてみようと思うようになった。
「画が古いから」といった理由でこの作品を観ないのはあまりに勿体ないことだ。