悪女は砂時計をひっくり返す

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悪女は砂時計をひっくり返す
10

これ以上にない“悪女漫画”界トップ作品

主人公は悪女をやり遂げた。数ある悪女系漫画の中でも、冒頭で主人公の目的をハッキリと読者の胸に刻み、そして主人公が憎む相手のことを一貫して《救いようのない敵》として描き切る展開は、この作品以外知らない。
読者はずっと主人公の敵であった存在に待ち受ける最後がどのようなものかを期待し読み進める。復讐が物語の軸であり、物語の冒頭で主人公を襲った屈辱を《敵》に与えることでスカッと終えるものだと思っていたのだ。
ところが肝心の軸である復讐のシーンだけは、《敵》が綺麗に、そして誇らしげに貴族として逝く描写だった。約100話にわたる悪女2人(義姉妹)による読者を張り詰めさせた戦いの末に、一気に「本当の主人公の敵は作者で、作者は《敵》の味方だったのか」と疑うくらいあっさりと綺麗に終わらせた。そこが逆にリアルで虚しい。復讐のために生きていた人間が目的をやり遂げたにも関わらず、《敵》だけが勝手に自分で納得・満足し笑顔でこの世を去ったのだ。きっと自分が主人公なら《敵》が逝っても尚縛られて生きていくのだろう…復讐とは相手がいなくなったら結局虚しいものなんだと作品を通して感じさせてくれた。主人公の復讐の先にある未来がどのようなものになるのか、是非綺麗なイラストの漫画で確認してほしい。