安全地帯

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安全地帯
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音楽のプロも舌を巻くバンド・安全地帯とは

音楽のプロたちが口をそろえて絶賛するバンドがある。それが安全地帯だ。1973年に結成。その後1982年にメジャーデビューした、昭和を代表するロックバンドである。代表曲である「ワインレッドの心」は1983年にリリースされ、70万枚を超える大ヒットとなった。
ほとんどのベテランミュージシャンが時が経つにつれ話題にあがらなくなる中で、安全地帯は今でもBSで冠番組を持ち、音楽特番でも頻繁に見かける。地上波のテレビ番組で時折見かける「音楽のプロが認める本当にすごいミュージシャン」といった趣旨の番組では常に上位に食い込んでいる。
その理由はボーカル玉置浩二の圧倒的歌唱力である。音程の取り方、リズムといった基本的な能力の高さもさることながら、やはり特筆すべき点は表現力だ。玉置浩二は基本的に原曲をかなり崩して歌うことが多い。その崩し方でその歌の世界観を作り出している。
ほとんどのミュージシャンは歌の世界観を様々なテクニックを用いることで表現するが、玉置浩二はほとんどテクニックを用いることなく、自分の感情や感性だけを頼りに、原曲の形に縛られることなく柔軟な発想をもとに世界観を表現していく。
これができることが音楽のプロらが舌を巻くまさしく「天才」としての実力である。その実力にEXILEのATSUSHIもスポット的に歌唱の指導をお願いしていたというのは、安全地帯ファンの間でも有名な話だ。

もちろん安全地帯は玉置浩二頼りのワンマンバンドではない。ベースの矢作渉、ギターの武沢豊、ドラムの田中裕二、キーボードの六土開正らが支えるバックミュージックは安全地帯デビュー前に、あの井上陽水のバックバンドとして抜擢され、全国ツアーに帯同していた。

昭和、平成、令和と生き抜いていきた安全地帯。時代とともに変化する楽曲と表現力こそが、長きにわたり日本中のファンを感動させている秘訣だろう。