先生! 、、、好きになってもいいですか?

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先生! 、、、好きになってもいいですか?のレビュー・評価・感想

先生! 、、、好きになってもいいですか?
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人を好きになることの素晴らしさを思い出させてくれる映画

まだ恋を知らない一人の女子高生が、先生を好きになって初めて恋を知る物語。主人公・響の初恋相手である世界史の教師・伊藤同様、響のひたむきな恋心に胸を打たれること間違いなしだ。
作中では度々大人と子供の対比が描かれているのだが、大人にとって子供というのはどうしても考えや行動が幼く思えてしまうのだろう。大人なら踏み止まるところを平気で超えてくるし、一度折れたくらいではへこたれないし大人の理屈も通用しない。だがその真っ直ぐさによって伝わる想いというものがあるのも事実で、実際、伊藤も響の一生懸命で真っ直ぐなところに惹かれたのだ。
物語の終盤、二人の関係が学校にバレてしまい伊藤が学校を去ることになるのだが、一人で責任を取ってしまった伊藤に納得がいかない様子の響。その姿にとても共感し、胸が苦しくなった。確かに大人が責任を取るのは当たり前のことかもしれないが、大切な人を守りたいと思う気持ちに大人も子供も関係ない。響だって伊藤を守りたかっただろうに、何一つ責任を取らせてもらえない無力な自分への悔しさが果たして大人に分かるだろうか。
教師という立場上自分の気持ちに蓋をする伊藤や、それが当たり前だと言ってのけてしまう伊藤の同僚たち。それに対して、好きだから一緒にいたいと思うことの何がいけないのか分からない響や、「世の中に好きになっちゃいけない人なんていないよ。」と背中を押してくれる響の友人たち。大人の考えと子供の考えはなかなか交わらないのが世の常だ、と本作を観て改めて感じた。しかし、どちらも間違ってはいない。かといってどちらかが正解というわけでもない。それならばせめて、自分の気持ちだけは誤魔化さずに生きていきたいと思った。そう思わせてくれる作品に出会えてよかった。
青春の青さと儚さをそのまま映したような映像美にも是非注目してほしい。
ハッピーエンドのその先も、伊藤と響に幸あれ。