いじめるヤバイ奴

いじめるヤバイ奴

『いじめるヤバイ奴』とは、中村なんによる日本の漫画で、サイコサスペンスとブラックコメディの要素を合わせ持つ。『マガジンポケット』で2018年8月24日から2023年2月17日まで掲載されていた。
本作は、いじめられている女の子といじめている男の子が主人公。クラスのいじめっ子として君臨する男の子・仲島達也は儚げな女の子・白咲に過激ないじめを行っている。しかし、いじめはすべて白咲に強要されたやらせであり、いじめっ子であるはずの仲島達也は普通の常識人であることが判明。仲島達也は、白咲の暴力による制裁に怯え毎日必死にいじめを繰り返す。仲島と白咲以外の登場人物もいじめマウントとるやつや、いじめを止めようとするものなど様々な思惑が入り混じる。
いじめを否定する漫画として、いじめの凄惨さと辛さを暴力を振るう側も怖いという視点で描かれている。いじめる側といじめられる側の視点から描くことで、サイコパスとブラックユーモアを交えていじめ問題を考えるきっかけになる漫画。

いじめるヤバイ奴のレビュー・評価・感想

いじめるヤバイ奴
8

「いじめ」をさせられる側の視点を描いた、一風変わった漫画

本作品は、「いじめ」を題材にした漫画になります。1話目、冒頭は主人公の仲島が白咲という女の子をいじめている描写から始まります。しかし最後にそれがひっくり返り、実は仲島は白咲に「いじめをさせられていた」という事実が分かります。いじめをしないと仲島が白咲にとんでもない拷問をされるので仲島は一生懸命、白咲に対して「いじめ」をしていく話になります。ただ、段々といろんな要素が入り混じり、どんなジャンルの漫画なのか説明するのが難しくなっていきます。「いじめバトル」や「いじめっ子探偵」「いじめ覚醒」など、とりあえず「いじめ」をもじっただけのようなワードが出てきます。そして、当たり前のように特殊能力を発動したりバトル漫画のような戦闘シーンがあったりと、読めば読むほど「いじめ」ってなんだ?と思うような点もありますが、なぜか受け入れて読めてしまいます。そこが気にならないくらい物語が面白いからなのかもしれません。見どころとしては、最終的に白咲によるボス格キャラへの制裁パートがあり、その後は廃人となってしまいキャラの風貌も変わり果ててしまうところです。その中でも、転校生の加藤は廃人になりつつも、ピンチになると覚醒する場面が何回かあるのですが、それがカッコ良すぎます。主人公より見せ場が多いキャラです。
タイトルだけ見るといじめを助長させるような漫画に感じますが、実際の内容は、「いじめ」というワードだけ使ったバトル風の漫画なので安心して読めます。