挫・人間

挫・人間のレビュー・評価・感想

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挫・人間
8

ありそうでなかった挫・人間というバンド

「あーなんで俺は闘う美少女じゃないんだろう」「ひきこもりのぼくだから 友達もいませんよ」
初めて『挫・人間』の音楽を聴いた人はまず、その卑屈精神満載の歌詞にびっくりすることだろう。
散りばめられたインターネット用語やオタク要素のある言葉たちがさらに卑屈っぽさを際立たせているのもポイントだ。
もはや下川リヲ(Vo.&Gt.)の私怨が詰まっているともいえる歌詞に全共感する人は多くはないかもしれない。
しかし心のどこかで「なんかわかるかも…」「これってあのときの自分じゃん!」となっていることに気づくはず。
それはきっと、私たちの誰もが抱えている窮屈さや「認められたい」という欲求を彼らがすくいあげてくれているからだ。
そんな歌詞とは真逆にも思える頭を振りたくなるようなリズム、癖になるメロディー。
ライブに行けば恥ずかしがりやの人でも思わず踊りだしてしまうだろう。
クラスで目立たなかったあの人が文化祭ライブでみんなを引き込んでいる。
まさにこのシーンを体現しているのが『挫・人間』なのだ。
「いやいや…そんな漫画じゃあるまいし…(笑)」と思ったなら一度聴いてほしい。
再生ボタンを押した瞬間、『挫・人間』に脳内ジャックされてしまうこと間違いなし!