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51分署の隣のDELIのコーヒーは飛び切り熱く、時にほろ苦い
舞台はブロンクス、NYPD51分署。そこで働く警察官たちと、ジャーナリスト、DELIの店員、謎の老人など、街の人々の群像劇。
COPPERSとは警官を指す古い呼び名のことである。カッツェル警部補の署長代理就任日から最終日までの日々を描いている。
彼の昇進や異動の初日は最終日には事件が起こるというジンクスがあり…。
どうやったらこんなに我々の日常から離れた世界を描写できるのだろうと感じさせる作家というのが時々いる。
作者オノ・ナツメもその一人だ。
本作は海外ドラマや映画、警察ものの小説などを素材にしているのだろうか、本当にNYPDの警官たちに取材したのではないかとすら思える。
絵柄はスタイリッシュで余計なものがそぎ落とされ、せりふも一つ一つが短く、素っ気ないようにも思える。
だが、読むごとにじわじわとそれぞれの登場人物となり、キャラクター同士の関係性が沁みてくる。会話がうまい。
物語の情報を補足するカメラワークも優れている。アニメにも親和性がありそうで、アニメ化などメディアミックスされればまた素敵な作品ができそうである。
上にあげたような、海外ドラマや映画、警察ものの小説などがお好きな方にはぜひ読んでいただきたい。
二巻でひとまず完結しているが、コミックスの帯には「SEASONⅠ、完結」とある。シーズン2で彼らにまた会えることを期待している。