インナースペース(映画)

インナースペース(映画)のレビュー・評価・感想

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インナースペース(映画)
10

マイクロチップを使ってマシンや人間をミクロ化させ、体内と体外で起こる冒険活劇

いわゆる追いかけ劇なのだが、面白い。過去のSF映画、『ミクロの決死圏』の体内イメージとは全く違った映像ながらリアルを感じさせてくれるし、探査艇が体内に留まれる時間が24時間と決まっているのでタイムレース的なサスペンスの要素も含まれている。スパイ団との追跡劇も体外の世界と体内の世界と両方で進んでいき、面白い。デビュー間もないメグ・ライアンが出演しているのも見所だ。タックがジャックの体内にいる事を知らせるために耳の中に移動して話しかけると、「悪霊だ!」とジャックが驚くシーンは笑ってしまった。ドクターが耳にライトを当てのぞき込むとタックが眩しすぎて「おお、神よ!」と『ライトスタッフ』のパロディのごとく、神に祈るのである。冒険活劇だが同時に極上のコメディでもある。さすがスピルバーグ、テンポの良さは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を彷彿とさせる。コメディSF映画というのは極めて難しいと思う。コメディもSFもそれぞれ現実を誇張増幅させた嘘の上に成り立っているし、その嘘の方向はぞれぞれ別々であるからだ。この映画が面白いのはスピルバーグと監督のジョー・ダンテがチェイスとアドベンチャーその融合に両方の嘘の接点を見つけ出して映像化したからだと思う。ぜひ見てほしい一本だ。スピルバーグとジョー・ダンテ2人の素敵な嘘が見るものを最後まで引き込んでゆく。