レット・イット・ビー(映画)

レット・イット・ビー(映画)のレビュー・評価・感想

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レット・イット・ビー(映画)
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解散直前の1970年時点でのビートルズの音楽性を鋭く抉った名作

『レット・イット・ビー』はビートルズを主演にした英国のドキュメンタリー映画で、監督はマイケル・リンゼー=ホッグ。映画は1969年1月に12枚目のスタジオ録音アルバム『レット・イット・ビー』の収録とリハーサルの風景を収録しています。この映画では、ビートルズによる事前告知なしの屋上でのコンサートも収められています。これは4人が一緒に演奏した最後の映像です。音源は1970年5月にアルバムとしてリリースされるのですが、『レット・イット・ビー』はオリジナルのリリースとしては最後のものになりました。本作はコンサート中継と連動したテレビ向けのドキュメンタリー番組として当初は計画されていました。放映計画が頓挫すると、プロジェクトは劇映画の製作に変更されました。映画からは解散に至るビードルズ内部の相克とダイナミズムを垣間見ることができます。映画が公開されると、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターは集団でアカデミー賞を受賞しました。映画の評価は批評家によってまちまちなのですが、ある評は「内容にムラがあり」、「退屈」であるとしていますが、ビートルズの音楽であることで「救われている」としました。一方で、別の批評誌では、「世界で最も有名なロックグループの最後の日々を見せる魅惑的な作品」であると評価され、「ビートルズの偉大な歌と伝説的な「屋上」コンサートシーンによってアクセントが付けられている」と賞賛されています。