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戦争の心理的後遺症を物哀しいモノクロ画面で描いた佳作『シベールの日曜日』
『シベールの日曜日』は1962年に公開されたフランス映画で、監督はセルジュ・ブールギニョン。映画のフランス語の原題は『ビル・ダヴレイの日曜日』です。ピエールは戦争中の事故が原因で記憶喪失を患っています。戦争中の事故とは、大破した戦闘機を強行着陸させた際に、ベトナム人の女の子を死に至らしめた可能性がある事故を指します。ピエールは彼の面倒を見てくれる看護婦マドレーヌと一緒に暮らしています。どうもマドレーヌはピエールに恋をしているようでもあります。ある日、ピエールはシベールに出会います。シベールは父親に見捨てられて孤児院に送り込まれていたのですが、ピエールと友だちになります。2人とも孤独で、子どもっぽくて、支えてくれる友だちを必要としていました。ピエールは少女の父を演じるようになり、ある日、孤児院に閉じ込められたシベールを連れ出して日曜日にとある時間を共有することになります。戦争帰りの無垢な青年が破滅することを暗示するラストシーンが物哀しいフランス映画の佳作の一作です。