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元気を取り戻していく日常
取り立ててストーリーが面白いわけでもなく、27歳の音楽教師の生活と心の動きを淡々と描いた映画。どこにでもあるような日常、テレビもなくラジオを愛聴しているような生活で、引っ越すわけでもなく、同じ町で恋人の思い出を引きずって生きている。それが教え子との再会、初海に恋心を抱く若い青年からの告白によって少しづつ過去の呪縛から解かれ新しい生活、人生を踏み出すようになる。恋人の家族、両親や妹といまだ交流を持っているのだから恋人のことを忘れて次に進むには難しいと思う。初海は恋人の母親に死ぬ4か月前に実は別れていたことを告げる。自分の気持ちの整理をつけたかったのだろう。自分の過去は過去としてしっかり整理をつけて、また恋人にこれからも手紙を書く決心をする。強い女性だ。でもそのことによって告白してきた若い青年のことを思いやる余裕も出てくる。最後笑顔が出てきて本当に良かったと思った。人は思い出のみで生きるものではなく、思い出はこれから作るものである。