砂糖は甘いが、あまくない砂糖とはなんのことなのか。
オーストラリアの俳優デイモン・ガモーが主演監督を務めたこの作品は、主演監督自ら立ち上がり、砂糖が身体にもたらす影響についての人体実験をするという作品だ。
作品全体を通してコメディ的な要素を含んだ演出と音楽が流れているのだが、作品に取り上げられている話は実に深刻なものである。
この実験は60日間にわたり検証されるのだが、実験開始時から糖質フリーと謳われている健康食品を摂取しているにもかかわらず、結果として主人公は体調不良を招き頭も働かない状態に陥ってしまったのだ。
検証を進めていくにつれ主人公の肝臓の数値は悪化していき、どんどん顔色も悪くなっていくのだが、ここからが恐ろしいところである。
なぜだか、体調が悪いにもかかわらず甘い物が欲しくなるのだ。そして甘い物を体内に取り込むと一時だけ体調が良くなるのだ。だが、しばらくするとまた体調不良に陥る。そしてまた甘い物を摂取する。また体調不良…といった具合に負のループが続いていくのだ。
企業努力と言っていいのか、幾多の企業が研究に研究を重ねたことにより、ある一定の数値まで糖分量をもっていくと人は幸福を感じるという数値を発見したのだ。これを企業では俗に「至福点」と呼んでいるのだが、この至福点の糖分量に調整した飲食物は人々に至福の喜びをもたらすのだ。それと同時に糖分は依存性が高く、身体に悪影響をもたらす中毒性のある物である。
作品中にとある青年が登場するのだが、この青年は幼い頃から親から与えられた炭酸飲料を哺乳瓶で飲んでいるなど、物心ついた時から身近に砂糖の存在があった。今現在に至るまで炭酸ジュースが水分補給の代わりになるほど生活に浸透しているのだが、これだけ毎日炭酸飲料を摂取し続ければ当然の如く虫歯になり、歯痛を訴え続けるのであった。そこで、歯医者で診察してもらうことになったのだが、あまりにも虫歯の進行が進んでいて痛みも激しく、麻酔も効かないので治療ができない状態であった。だがしかし、こんなにも痛い思いをしてもなお炭酸ジュースを欲しているのだから、砂糖の依存性は計り知れない。
砂糖といえば甘い物という認知があるが、実際問題として健康に関していうのであれば、とてもあまくない現実なのだと気付かされる作品である。
この作品を見れば、この後主人公がどのように変化していくのかが分かり、日々の食生活を見直すきっかけになるだろう。