「あなたの故郷アニメ化計画」に観る価値はあるか
タイトルから想像する限りとても面白い企画のように思えたが
いざ形になったものを見ると期待通りのものではなかったかなと言うのが正直なところ。
BS番組は確かに予算がなく苦しい。
その代わりに自由にやりたいことができるというメリットは素晴らしいものだ。
80年台の深夜番組がそうだった。特にフジの深夜帯はチャレンジ一筋。
見たことがない番組を掘り起こしていたし、番組の可能性を広げていったと言うことから
とても意義のあるものだった。
酷いものあったが、それ以上にそれまでなかった手法を業界にもたらしてくれた業績は大きいと思う。
こうした開発のためのばと言うのはいつの時代も必要だし、それがなければ進歩もおぼつかない。
今の民法BSに期待することの一つがこうしたことじゃないか。予算がないからこその新しいアイデアや試みを見たいと思う。
「こんな手法があったのか」と感心する番組を見た時は幸福すら感じる。
「あなたの故郷アニメ化計画」はそこが弱い。チャレンジ感がもっと全面に出ていれば好感度は増したのではないだろうか。
予備知識なくこの番組を見た人はどう思うだろう。
インフルエンサーが思い出スポット訪ねるが若いだけに思い出の感じが弱い。スポットにまつわる物語が描かれておらず
共感のしどころがない。
旅番組らしい「ブラリ感」はどうか。紹介されるものが見慣れたものばかりで興味を惹かない。
唯一富士山がご当地の感じを出しているがそれだけでいいものか。
企画の要であるアニメパート。どんなものが出来上がるかと言う期待で番組を引っ張るのはいい。
しかし作られたのはアニメではないし、使われたのも笛とスナップで撮られた背景写真ぐらいだろう。
「故郷アニメ化」というタイトルから湧く期待に応えてるとは言い難い。
この番組を作るにあたっては二つの方向性が考えられると思う。
一つは新しいブラリ番組。ブラタモリ、じゅん散歩、地球ブラ散歩など数ある中で青春版というのはなかった。
青春散歩番組とはどういうものかを突き詰めれば答えは見える気がする。
ドキドキした場所。ワクワクした場所。誰だってそいういうところは持っているはず。
初恋の場所、学校に合格した場所。家出した場所。思春期にあるだろう激情を受け止めた場所を訪れて
今いる場所（東京か）や地位との比較で見せていくブラリ番組。それなら共感を呼ぶよ。
もう一つは才能発掘系。
アニメストーリーを作るのは素人じゃ難しい。素人バイオリンを聞くのが拷問なのと同じ。
であるなら、材料を限定してシナリオスクールなどに公開して才能を発掘するスタイルにしたらどうだろう。
思い出の場所を持つインフルエンサ〜と新人ライターとのコラボ。
これならとてもチャレンジングなことができるし、クオリティーも期待できる。
少ない予算でテレビ界に有意義な番組になるんじゃないか。
主役の女性がとても魅力的だった。
そこだけは非常に印象が残るし番組を観た最大の収穫だろう。