『メイプルストーリー』で起きた「ビッグバン」と呼ばれる改革は果たして悪手だったのか？
2003年にサービスが開始された、ネクソン社のMMORPG『メイプルストーリー』。プレイしたことがなくとも、タイトルなら耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
一時期はMMORPGの頂点に立ち、テレビCMでも多数見かけることがあったでしょう。とくに2003年～2007年は本ゲームの全盛期でもあり、幅広い年代で多くの人がゲームに熱中していました。
しかし『メイプルストーリー』では、2010年に「ビッグバン」と呼ばれるゲーム仕様の大改革が行われたのです。
このビッグバン、どのような改革が行われたのかというと数が多すぎて列挙し難いのですが、まずは職業の乱立が挙げられます。
ビッグバン以前は全5種類の職業から選び、そこから二次転職、三次転職と派生していく形が基本でした。しかしビッグバン後は大量の職業が追加。さらにこの職業たちは性能やスキルの被りが多く、職業ごとの個性が出にくくなったのです。
RPGといえば職業選びが一番ワクワクする瞬間でもあります。職業ごとで得手不得手のバロメーターが存在し、自分に合った性能や使いたいスキル、レイド戦でどのように自分が立ち回りたいか等を総合して決めるのが醍醐味でもあります。
しかし『メイプルストーリー』はその職業選びの楽しさを半減させる改革を行ってしまい、多くのプレイヤーから賛否両論が巻き起こったのです。
次に挙げるのは、マップ移動の利便性が格段に向上したことです。
それは改革として正しいことであり、「ゲーム性としては改善されているのでは？」と思われた方もいるでしょう。しかしこの利便性の向上は一部のプレイヤーから批判を受けました。
そもそも『メイプルストーリー』のマップ移動はとても複雑で、かつ時間がかかります。
たとえば行きたい島Aがあったとしたら、島Aに繋がるポータルを探すのではなく、島Aと連絡している島Bを経由する必要があります。そして現在地から島Bへ移動するのであれば、現在地から一旦島Cまで徒歩移動し、船に乗り換えて1時間ほどかけて島Bにたどり着かねばなりません。
これはあくまでたとえ話ですが、実際に『メイプルストーリー』のマップの移動性は、初心者ほど苦痛で難易度が高いのです。
「その億劫な移動がなければやはり良いのでは？」とお思いの方も多いでしょう。
しかしMMORPGを好んでプレイしている人の多くは、そうした手間暇や作業性を好む傾向にあります。時間がかかって不便なのが逆に、島間の移動という行動に現実味を与えていたのです。それに移動に時間がかかる分、少しでも短縮する方法や便利な裏技などがプレイヤー間で情報共有され、不便さを乗り越えた先にあるものがある意味「成果」としてプレイヤーに刺激を与えていました。
このビッグバンではプレイヤーに職業選択の自由と移動の利便性の向上をもたらしました。それは字面だけで見ると十分な改善ポイントだと思われそうですが、長年プレイしているプレイヤーほど批判的な論調となりました。
他にもビッグバンがもたらした改革は多く、挙げるときりがないので割愛しますが、このビッグバンは間違いなく『メイプルストーリー』のゲーム性を大きく変えた一件と言えるでしょう。それにより、『メイプルストーリー』にのめりこんでいた人ほどゲームから離れてしまい、多くのユーザーが流出する原因となったのです。
