胡蝶綺 ~若き信長~

胡蝶綺 ~若き信長~のレビュー・評価・感想

New Review
胡蝶綺 ~若き信長~
7

大河ドラマを乙女向けにしてアニメ化した作品

かの有名な戦国大名・織田信長の若い頃の物語を、史実をベースに時々脚色を交えて描いたアニメ作品。
大河ドラマをアニメでやったような斬新さがあるほか、歴史の教科書にも出てくる桶狭間の戦いでの活躍よりも前という、あまり有名ではない信長の若い頃の時代を描いた珍しさがある。
戦闘シーンの描写や台詞回しに迫力があって痛快なほか、キャラ同士の人情話も涙を誘うものとなっている。
ただし、感動的な話にするために史実に脚色が入り、信長のキャラクターが非常に善人として描かれている側面があるほか、BL好きな乙女層をターゲットにしているのか、史実の女性が実は男性であったり、ストーリー展開の引き金が男同士の痴情のもつれであったりするので、史実を追究したい人や、BL耐性がない人にはオススメできない。
また、第1話の冒頭で予告的な感じで桶狭間の戦いに出陣するシーンがあり、そこから時間が巻き戻って物語が始まり、概ね時系列で話が進んだ後、最終話で再び桶狭間が描かれるのであるが、この冒頭とラストの戦闘シーンの描写内容や尺の長さが殆ど変わらず、使い回しのようになっている。
そのため最終話では桶狭間に出陣した後、すぐに決着がついて物語が終わってしまうので、非常にあっさりとした終わり方だという印象を受けた。
以上のことから総合的に評価すると、史実にユニークな脚色を加え、感動的な人情話に仕立て上げた乙女向けの大河ドラマ風アニメで、物語の内容も戦闘シーンの描写も楽しめるのであるが、終わり方があまりにもあっさりしすぎているのが玉に瑕、という内容の作品であると言える。
しかしそれを気にしなければストーリー全体は楽しめるので、特に歴史好きにはオススメできる作品だ。