B壱

B壱のレビュー・評価・感想

B壱
7

皮肉な能力者たちの争い

主人公と親友が争うという、悲しい状況になる本作ですが、問題となるのはそれ以上に彼らが持つ能力を維持するための"条件"です。

彼らはいわゆる能力者であり、この世界でその存在は"道化師"と呼ばれています。
道化師は先天性のものではなく後天性で、その条件は"虐待されること"です。

主人公である将太郎の能力は"生物の骨を咥えることで、その能力を利用できる"というもの。これは犬の骨を咥えることでその嗅覚などを使用できますが、その真価はそれだけではなく同時に複数の骨を咥えることで、複合的に生物の能力を使用できます。
将太郎が能力を維持するための"条件"は、一日一善。

一方、親友のエミネの"条件"は一日一悪です。

彼らは互いを思いやり、友情を大切なものと感じていますがその"条件"ゆえに一緒にはいられず、しかし将太郎はエミネと会うために、エミネは将太郎を守るための力を失うわけにはいかず、本当はしたくも無い一日一悪という"条件"に苦しみ、その正反対の将太郎も彼を傷つけるような自分の"条件"に苦しんでいる、という矛盾した状態です。

本作は多くの設定や伏線が回収されないまま連載が終了していて、一応の完結は迎えていますが未完の名作、といった印象です。