野生の証明

野生の証明のレビュー・評価・感想

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野生の証明
9

血の繋がりだけが親子ではない

最近はゾンビの映画が良く作られている。大半は最初ウイルスに感染してゾンビ化するといったものが多いと思われるが、その後の展開は大きく2つに分けられるようだ。1つは、ゾンビの恐ろしさをこれでもかっていうほど強調した作品で、娯楽性が非常に高い。もう1つは、ゾンビが発生した後の世界で、人間がどのように行動するかといった人間模様が多彩ないろいろと考えさせられる社会性の高い作品だ。ここで紹介する「野生の証明」も、ゾンビではないが、ウイルスに感染した人が村人たちに襲い掛かることから始まる。この物語は後者のゾンビ映画のように人間性を考えさせられる内容である。主演は今は亡き高倉健、それと娘役の薬師丸ひろ子だ。娘と言っても実の娘ではない。ウイルスに感染した村人に両親を殺され、隠れていたところを自衛隊である味沢(高倉健)に助け出されたのである。その後、味沢はこの娘頼子を引き取るのであるが、頼子は事件当日の記憶を失っていた。自衛隊を退役した味沢は頼子と平穏な生活を送ることになるが、頼子の不思議な能力により、大きな陰謀に巻き込まれていく。実の親子ではないが、ここから変わっていく親子の人間模様が心に響き、涙が止まらない作品にまとまっている。