ヴラディーミル・ド・パハマン

ヴラディーミル・ド・パハマンのレビュー・評価・感想

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ヴラディーミル・ド・パハマン
10

伝説の大ピアニスト

ヴラディーミル・ド・パハマンは、ロシアのオデッサに生まれ、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したピアニストです。
19世紀には演奏会でベートーヴェンの「皇帝」などを弾いて人気を博したという記録が残されていますが、20世紀初頭にレコードの録音が始まってからは、主にショパンを多く演奏して残しました。
彼の録音全集がCDで出ているので、現在でも聴くことができます。
パハマンの演奏の魅力はどこにあるのでしょうか。それは、力強くてかつ繊細な響きにあると思います。
電気録音以前の録音は音は淋しいものの、壮年期から老年期に入った頃の録音であるだけにとても力強い演奏となっているところが魅力です。とりわけショパンの「雨だれ」は優れた演奏になっています。途中から盛り上がっていくあたりが巧みに表現されています。
この時期のほかの録音でいうと、ショパンの「葬送行進曲」や「革命」も見事な演奏です。ショパン自身もこんな風に弾いていたのではないかと想像させるほど素晴らしいのです。
1926年からの電気録音の演奏は年齢こそかなりいってしまってからのものですが、音がよくなっているので、19世紀に演奏会で弾いていたときにはこのような音を聴衆が聴いていたのではと感じさせてくれます。
今後も聴かれ続けていくことを期待したいですね。