映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021のレビュー・評価・感想

New Review
映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021
9

大人も楽しめる。考えさせられる。

1985年に公開された『ドラえもん のび太の宇宙小戦争』のリメイク作品である。独裁者のピリカ星への侵攻というストーリーは、公開1週間前に勃発したロシアのウクライナ侵攻と重なる点も多く、大人でも見入ってしまう。ちなみにピリカ星の大統領がつけているペンダントが偶然黄色と青で、ウクライナの国旗と同じ色であった。
のび太たちが戦うことになると決まったとき、みんなが意気揚々としている中で、1人スネ夫だけが「本当は戦いたくなかった」と部屋にこもって泣いていた。どうして自分が戦わなければならないのか。本当は怖い。戦いたくない。こんなことに巻き込まれるなんて。
そういった思いがスネ夫のセリフからひしひしと伝わってくる様は、戦争でなくとも人間ならば誰しも考えたことがあるだろう。敵と戦うアニメではそういった恐怖心や葛藤が描かれることが少ないが、今作品ではそういった感情がスネ夫だけでなくのび太やしずかちゃん等にも描かれ、より自分のこれまでの経験や心情と重ね合わせやすくなっている。

戦いの話となると女の子は戦いに参加せず、逆に人質となって足手まといな存在に描かれがちだ。しかしこの作品では、一旦人質となったしずかちゃんも最後には戦いに参加し果敢に戦う姿が見られ、男女の区別なく活躍している姿はジェンダーの観点からも評価できるものだろう。

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021
8

昔のも今のもよい

リメイクなので、知っている話でしたが、これはこれで楽しめました。ミニチュアの特撮撮影とか昔もすごいなと思っていたけど、本作もよくできていてすごかったです。やっぱり、このシーンはこの話にないといけないよねって思っていたので、ちゃんと昔の作品のいいシーンはリメイクでも使われていてよかったです。もちろん、昔と違うところもあるし、やりすぎではってところもあったけど、おおむね、きちんとしたリメイクでした。戦闘シーンは迫力があり、そこは時代が進んで映像技術が上がったためかなという感じ。ストーリーもわかりやすくて、子どももすっと入り込めると思います。ドラえもんは子どもから大人まで楽しめるエンタメだと思います。古いのをもういちど作り直すなんてって意見もあるでしょうが、リメイクでもなんでもドラえもん映画が毎年あることがうれしいです。パピとのび太たちの友情、小さくなって、大きい食べ物を食べたり、人形の家に住むという子どものころ誰もが想像したこと、迫力ある戦闘シーン、面白い要素がいっぱい詰まった映画でした。挿入歌は、昔の武田鉄矢さんの曲のほうが好きだけど、今回もいい曲が流れていました。この映画を見て、昔バージョンも見たくなりました。こちらのほうももう一回見たいです。