未来惑星ザルドス

未来惑星ザルドスのレビュー・評価・感想

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未来惑星ザルドス
8

人間はちゃんと生きて死ぬ方が、幸せと思わせる作品

本作は「エクスカリバー」などで知られる、ジョン・ブアマン監督の作品です(1974年、アイルランド・アメリカ合作)。開始直後から奇妙なイメージが次々出てきます。暗やみを漂いながら喋るおっさんの首、空を飛ぶ奇怪な石像、そして、拳銃を構える赤パンツ一丁のショーン・コネリー……。「何だこりゃ?」と思われるでしょうが、我慢して見続けましょう。だんだん、作品世界が分かってくると、最初に抱いた印象よりも結構「高尚」なテーマが描き出されていることに気付きます。最後は、「ああ、人間はあまり過ぎたる欲望を持たずに、自然が作ったシステムで生きるのが一番なのだな」と思わせつつ、何とも言えない奇妙な感情(そして感動)を与えて終わります。その過ぎたる欲望というのは、誰しも願うであろう根源的なものですが(ネタバレになるので控えます)、結局人間はちゃんと生きて時期が来たらジタバタせずにちゃんと死ぬ、というのが一番幸せなのだろう、と最後には思わせてくれる作品です。持って生まれた自然のシステムに逆らうとあまり良くない……というか、人間の精神というものの構造自体が、根本的に変わらないとやっぱり駄目なのだろうな……と思わせてくれます。
映像的には、低予算のせいで「もしかして高尚なのか?」と「いかにもチープ!」が混在した、これまた不思議な感覚を与えるものですが、ギリギリのところで良い感じのバランスを保っているのでは……とも思います。
たまに「2001年宇宙の旅」よりも難解とか言われることもある本作、あれよりは分かりやすいというか、むしろシンプルに見られる作品だと思います。