羅生門(1950年の映画)

羅生門(1950年の映画)

『羅生門』は、黒澤明監督による1950年に公開された日本映画である。主演は三船敏郎と京マチ子。原作は芥川龍之介の短編小説『藪の中』および『羅生門』。黒澤明監督との共同脚本で橋本忍の名が初めて出た作品でもある。
舞台は平安時代。藪の中で旅の侍の金沢武弘が殺害された。発見者は杣売り(焚き木の販売業者)と旅法師であり、検非違使は盗賊の多襄丸(たじょうまる)、殺害された金沢の妻の真砂、殺された金沢の霊を呼ぶ巫女を尋問するが、全員が自分に有利な供述をするため真相は一向にわからないというサスペンスな展開の映画である。同じ出来事を複数の登場人物の視点から描く大胆な作品構成と、レフ版の代わりに鏡を用いて白黒のコントラストを画面に焼き付けた強烈な映像、三角関係を強調するクローズアップの多用、ボレロ調の効果音楽などの野心的な演出により、日本映画としてはじめて第12回ヴェネツィア国際映画祭でグランプリを、第24回アカデミー賞で名誉賞を受賞し、日本映画の知名度を上げた黒澤明監督の若き日の傑作。
リメイク作品も数多く作られており、2008年には角川映画がデジタル修復を行っている。

羅生門(1950年の映画)のレビュー・評価・感想

羅生門(1950年の映画)
9

初期黒澤映画の最高傑作!

『羅生門』は1950年に公開された時代劇風の心理スリラー/犯罪映画で、監督は黒澤明、撮影の宮川一夫と緊密に連携をとりながら製作された。出演は三船敏郎、京マチ子、森雅之、志村喬。さまざまな登場人物が侍が森の中で殺されたさまを語ります。映画の筋書きと登場人物は芥川龍之介の短編『薮の中』に基づいていて、タイトルと枠になる物語は、芥川の別な短編『羅生門』をベースにしています。ストーリーのすべての要素は大部分が等価で、森の中の賊に神道の霊媒を通して語りかける殺害された侍、僧、妻の暴行、嘘をつくことで自分の理想を示そうとる、できごとについての不誠実な「語り」。
本作の筋書きはさまざまな登場人物が、同じ小事件について、主観的。代替的、手前がっての、そして相矛盾する語りをなす点にあります。この作品は1951年のヴェネツィア映画祭の金の獅子賞や1952年の第24回アカデミー名誉賞などの複数の賞を受賞し、かつて製作された映画の中で最も偉大な作品の1つと考えられています。『羅生門』効果は、黒澤作品に因んで命名されています。
海外の映画批評家の多くは、本作に対して好意的な評価をしています。『ニューヨークタイムズ』紙のボズレー・クラウザーは「この映画が持つパワーのほとんどは、黒澤監督が用いたカメラワークの素晴らしさに由来している。撮影は見事で、映像の流れは言葉にできない表現力がある。音楽や効果音も見事であり、役者たちの演技も刺激的だ」と評しました。ロジャー・イーバートは本作を自身が選ぶ最高の映画のリストに加えています。