アトランティス/失われた帝国

アトランティス/失われた帝国のレビュー・評価・感想

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アトランティス/失われた帝国
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ディズニーが描く古代文明を巡るSF冒険譚。 アニメーション・ストーリー・声優陣共に高品質な隠れた名作

今回紹介するのは、ディズニー制作の海洋アドベンチャー作品『アトランティス 失われた帝国』です。
『アトランティス/失われた帝国』は2001年に制作され、海底に沈んだ伝説の古代文明アトランティスの伝説を題材に制作された作品ウォルト・ディズニー生誕100周年を記念し制作された劇場用アニメです。後に続編である『アトランティス/帝国最後の謎』もビデオ作品として発表されました。

1914年のロンドン。探検家だった亡き祖父の影響で、太古の昔に海中に没した古代文明、アトランティスの存在を信じる言語学者の青年マイロ・サッチ。
周りから白い目で見られながらもアトランティスへの憧れを絶やさなかった彼は、祖父の友人だというウィットモアに招かれ、祖父から預かっていた、アトランティスについて書かれた船乗りの日誌を託され、アトランティス探検隊の一員として招かれます。
そこでユニークな乗組員たちと出会い、遥かな深海へ進みゆくうちに、いくつもの危機と、その果てのアトランティスの謎が、一行を待ちかねていたのです。

本作は、ディズニーの創設者ウォルト・ディズニーの生誕百周年記念作ですが、『美女と野獣』『アラジン』など、90年代における大ヒットの連作が続いた隆盛期が落ち着いたタイミングもあってか、他の名作に比べ、さほど知名度は高くありません。
しかし、質の高いアニメーションや、神秘的な世界観と個性豊かなキャラクターが生き生きと描かれるストーリー、それを彩る豪華声優陣の高い演技力と、大きな魅力に満ちた作品と言えるでしょう。

90年代から培ってきた高いCG技術により潜水艦や、アトランティス遺跡の神秘がダイナミックに表現され、古代遺跡という壮大なテーマを視覚面において、見事に表現されています。
物語については、大きな憧れを抱きながらも冴えない主人公マイロが、アトランティス遺跡の謎に触れていく中で、仲間たちと友情を培い、大きな決断を下し、人々を率いていけるまでに成長していく過程もしっかり描かれており、サクセスストーリーとしての魅力もあります。
また出演声優も見どころの一つでしょう。原語版を『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのマイケル・J・フォックス、日本語版をV6の長野博が務めています。更に日本語版では、辻萬長、平幹二郎といった豪華俳優陣の他、銀河万丈、富田耕生などの大御所の本業声優が脇を固めるなど、日本語版キャスト陣による高い演技力が作品に彩を加えています。

90年代の名作に隠れてしまいがちながらも、高品質のアニメーション、見どころの多い魅力的なストーリー、豪華声優陣の演技など、一作品として、高品質さと面白さにあふれた、隠れた名作アニメーションです。