善き人のためのソナタ

善き人のためのソナタのレビュー・評価・感想

善き人のためのソナタ
8

人間に潜む善悪の両面を見事に描き出した『善き人のためのソナタ』

『善き人のためのソナタ』は2006年に公開されたドイツの劇映画で、脚本と監督はフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクが務め、ドナースマルクは本作で映画デビューを果たしました。ストーリーは、東ドイツの国家秘密警察のエージェントが東ベルリンの住人を監視している話です。出演は国家秘密警察の刑事ゲルドにウルリッヒ・ミューエ、その上司アントン・グルビッツにウルリッヒ・トゥカー、脚本家ゲオルグ・ドレイマンにセバスティアン・コッホ、ドレイマンの愛人である著名な女優クリスタ-マリア・ジーラントにマルティーナ・ゲデック。
映画の公開と同時にズールカンプ出版社から脚本が出版されました。本作はアカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞しています。この映画は製作費が200万ドル、全世界での興行収入が7700万ドル以上。ドイツ民主共和国の終焉を画す、ベルリンの壁崩壊の17年後に公開されて、『善き人のためのソナタ』は『グッバイ・レーニン』のような一連の喜劇の後に、その主題を扱った最初の特筆すべき劇映画となりました。ドイツではヴィースラーの性格を人間的に描いたことに批判的な者であってもこの作品のアプローチを賞賛しました。監督が東ドイツの外部で成長し、ベルリンの壁崩壊時に16歳であったとしても、作品の真正性は賞賛に値すると受け止められました。