ハウス・オブ・カード 野望の階段

ハウス・オブ・カード 野望の階段のレビュー・評価・感想

ハウス・オブ・カード 野望の階段
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英国保守政権の腐敗した内幕を描き出した佳作『ハウス・オブ・カード 野望の階段』

『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は1990年公開された英国の政治スリラーのTV版ミニシリーズ(4話構成)で、マーガレット・サッチャー首相の任期後の英国に舞台が設定されています。本作は1990年末にBBCでテレビ放映されて、批評家と大衆から高い評価を受けました。
アンドリュー・デイヴィスは1989年に発表された保守党本部の選挙参謀だったマイケル・ドブスの同名の小説を脚色しました。ネヴィル・テラーもドブスの小説をBBCワールドサービス向けにドラマ版として脚色して、2本のミニシリーズを製作しました(『To Play the King』と『The Final Cut』)。
本作は英国映画研究所の「英国映画の100名作」の84番目にランクインしており、2013年にはドブスの小説とBBCのミニシリーズは設定をワシントンに変更した米国版の原作とされて、こちらの作品はネットフリックスで公開されました。
『野望の階段』のアーカートは架空の保守党院内総務フランシス・アーカートで、イアン・リチャードソンが演じました。ストーリーでは、アーカートが非道徳的な振る舞いで陰謀を巡らせて政権党の党首となり、英国首相に就任するまでが描かれています。
『野望の階段』はシェイクスピアの『マクベス』と『リチャードIII世』をベースにしていると言われており、実際、シェイクスピアの両作も権力と野心に冒された主人公を扱っています。リチャードソンはシエイクスピア的な背景を有しており、アーカートの性格設定はシェイクスピアの描き出すリチャードIII世をモデルにしていると発言しています。