コンビニ人間

コンビニ人間のレビュー・評価・感想

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コンビニ人間
9

自分らしくとは何か?を問いかける。芥川賞受賞作品。

(あらすじ)
古倉恵子は36歳、未婚にしてコンビニのアルバイト。
幼少の頃から人とは違う感性を持つ変わり者として認知されている。
恵子は大学時代からはじめたコンビニのアルバイトに執着していた。
制服を身に纏い、決められたルーティンを従事すれば普通の人間として扱われるからだ。
恵子はコンビニアルバイトに居心地の良さを感じていた。
ある日、妹や友人から「就職しないの?」「結婚しないの?」と問われた事を機に迷走していく。

(ここがオススメ)
普通の生き方とか?
就職、結婚、出産、家族、一般的な生き方はこれらのイベントを経て成り立つとされている。
しかし、人間にはそれぞれ価値観があり、これらのルートが必ず正しいとは限らない。
主人公の恵子が正にその象徴だろう。
人間社会に於いて、必ず世間体というものが付き纏い人の価値観を阻害していく。
やがて世間と自分の有り様を比較して、自分を見失い迷走していく様を丁寧に描いた作品だろう。
常識に囚われて生きるよりも、自分らしく生きればいいと言い聞かせられてる気さえした。
自分らしく生きる事に悩んでいる人には是非手にとって読んでもらいたい一冊。
村田沙耶香先生のメッセージに誰もが共感を誘うだろう。