オアシス:ネブワース1996

オアシス:ネブワース1996のレビュー・評価・感想

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オアシス:ネブワース1996
7

みんなロックンロールスターだった。

オアシスが2日間で25万人を集めた伝説のライブ、ネブワースのドキュメンタリー。しかし、これをオアシスの映画と思って見に行くと肩透かしを食らう。確かに彼らのライブ映像やオフショット、ノエルやリアムのコメントはあるがそれはおまけであり、この映画の主役はオアシスではなく当時ネブワースに押し寄せたオアシスのファンの回想録であり彼らだ。まだ、インターネットがない時代の電話予約リダイヤル地獄のチケット争奪戦から始まり、ネブワースまでの大移動、期待と高揚。それにしてもリアムの恰好をしたファンの多いこと多いこと。そして始まる伝説のライブ。リアムの声はダミ声になる前の絶頂期だし、「Slide Away」も声が出てる!と驚くが、やはりファンの地鳴りのような大合唱が素晴らしい。1996年なんてスマホなんてない時代。映画の中で携帯に収めるためじゃない、SNSに投稿するためにライブに来たのではないとファンの言葉が出てくるが、全力でライブを楽しみ、そして大合唱したからこそ、こうして彼らの記憶に残り続け、いかにオアシスが凄かったのかが刻まれているのである。ノエルは言った、俺たちは公営住宅出身のただの5人、みんなと変わらないと。だからこそオアシスの歌は受け入れられ、歌われ、彼らをこのネブワースまで一気に押し上げたのだ。映画の最後は代表曲「Rock 'n' Roll Star」で締めくくられるが、ネブワースのあそこにいた誰もがみんなロックロールスターだったに違いない。ブリットポップの頂点とオアシスの頂点が重なった必見のドキュメンタリー映画。