復讐者たち

復讐者たちのレビュー・評価・感想

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復讐者たち
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戦後ドイツ人戦犯を「処刑」してまわったユダヤ人グループの顛末を描いた衝撃の問題作『復讐者たち』

第2次世界大戦中にナチス・ドイツがユダヤ人に対して行った国家的な絶滅政策、すなわちホロコーストの惨劇は、600万人以上のユダヤ人の命を奪ったとされています。
この人類史上最悪の蛮行は膨大な数の映画の題材となり、歴史ものや戦争ものの一大ジャンルを形成しているのは周知の通りです。
今なおホロコーストにまつわる戦中戦後の知られざる史実が次々と掘り起こされ、映画ファンの根強い関心を集めています。
テレンス・マリック監督作品『名もなき生涯』での名演技が記憶に新しいアウグスト・ディールが主演を務めた『復讐者たち』は、まさしく「知られざる」破格の驚きに満ちた実録ドラマです。
戦争犯罪の被害者であるユダヤ人が加害者のナチスに復讐する映画と言えば、クエンティン・タランティーノ監督の荒唐無稽なバイオレンスアクション『イングロリアスバスターズ』が有名ですが、
『復讐者たち』は本当にあった「目には目を、歯には歯を」の復讐計画に関わった生存者たちへの取材に基づく正真正銘の実話映画です。
ナチスによって愛する者の命を奪われ、生きる目的を復讐にしか見出せない主人公マックスがたどる運命を、衝撃的なストーリー展開で映像化。
ドイツの5都市に張り巡らせた秘密作戦によって600万人の殺害をもくろんだナカム、英国軍の指揮下にあった対ナチス部隊のユダヤ旅団、パレスチナの軍事組織ハガナーといった実在のグループの活動が描かれている点も興味をかき立ててやみません。
監督を務めたのは、イスラエル出身のドロン・パズとヨアヴ・パズ。『エルサレム』、『ゴーレム』という歴史や聖書をモチーフにしたホラーを手がけてきた若き兄弟ユニットが、ジャンル映画で培ったサスペンスフルな語り口を披露。
戦禍で荒廃したニュルンベルクの街並みをリアルに再現して、現代に伝えるべき重いテーマをはらんだ歴史ドラマを完成させました。
また、『イングロリアスバスターズ』にも出演していた実力派俳優アウグスト・ディールが、埋めようのない喪失感とナチスへの怨念を内に秘めたマックスを渾身の演技で体現。
さらにオランダ人女優シルヴィア・フークスが、マックスと心を通わせるナカムのメンバーに扮して鮮烈な印象を残します。
憎悪と良心の狭間で道徳的なジレンマに引き裂かれる男女の凄まじい葛藤、そしてクライマックスの「決断」から目が離せません。