弘田三枝子

弘田三枝子のレビュー・評価・感想

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弘田三枝子
10

日本のポップスの草分け

弘田三枝子は1961年にデビューして洋楽ポップスをカバーして広く人気を得た歌手でした。
しばらくはその路線でしたが、69年に「人形の家」を大ヒットさせ、歌謡曲を歌い、息長く活動を続けました。
惜しくも2020年に亡くなりましたが、今も愛されているミュージシャンの1人です。
彼女の魅力は、なんと言ってもパワフルなその歌唱でしょう。彼女は、まだ少女だった頃に出てきて多くの後進の歌手たちに影響を及ぼしました。特に洋楽カバー時代にリリースした「ヴァケーション」はビッグヒットして、彼女は一世を風靡しました。
歌謡曲を歌うようになってからもそのカラフルな歌い方は光っていて、弘田三枝子は素晴らしい録音を残しています。
とりわけ70年代にリリースした「絵空事」は、どうしようもない男の嘘に振り回される女性を歌って実に見事です。この時期の曲はあまり一般に知られていませんが、隠れた名曲の一つといえましょう。
つまり初期のパンチの効いた歌唱スタイルではなくなっても、弘田三枝子は色彩感のある歌い方ができたため、十分に魅力的だったのです。このことは見過ごされていますが、もっと多くの方々にこの時期の曲をお聴きいただき、そのあたりを理解していただきたいと思います。