チェ(映画)

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キューバ革命の寵児チェ・ゲバラの行動を特異な表現形式で追った大作『チェ』

『チェ』は2008年に公開された2部構成の伝記映画で、アルゼンチンのマルクス主義革命家エルネスト・「チェ」・ゲバラの生涯を描いています。監督はスティーヴン・ソダーバーグ。時間を追って展開する従来の方法に従うよりも、映画はタイムライン全体に断片的なシーンを配置しています。第1部は「アルゼンチン」と名付けられており、フィデル・カストロ、ゲバラ、その他の革命家たちがキューバ島に上陸するところからフルへンチオ・バチスタの独裁をその2年後に打倒するまでのキューバ革命の焦点を当てています。第2部の題名は「ゲリラ」で、ゲバラがボリビアで革命を試みて、現地に果てるまでを描いています。両作ともにシネマヴェリテ様式で撮影されていますが、それぞれが線的な語り、カメラワーク、ヴィジュアルなルックに対して異なるアプローチを採用しています。出演はゲバラ役にトロ、その他にデミアン・ビチール、ロドリゴ・サントロなど。
映画製作者テレンス・マリックが当初はボリビアに革命を起こそうとするゲバラの試みにのみ限定された脚本を執筆していました。資金調達に失敗するとマリックは映画製作を降り、ソダーバーグが最終的に映画を監督することになります。後者は当初の脚本ではゲバラがボリビアでゲリラ活動をする前後関係が示されていないと考えて、キューバ革命と1964年に国連総会に登場する場面も描かれることになりました。ペーター・ブックマンが脚本家として雇われて、脚本が長くなりすぎたので、ソダーバーグは映画を2分割することを決断しました。第1部はキューバ革命のクロノロジー、第2部は、ゲバラのボリビア時代を描いています。ソダーバーグは背水の陣で撮影にあたり、第2部「ゲリラ」はスペインで39日、第1部「アンルゼンチン」はプエルトリコとメキシコで39日間撮影されました。『チェ』は全世界で4090万ドルの収益をあげ、制作費は5800万ドルでした。