クラッシュ(1996年の映画)

クラッシュ(1996年の映画)のレビュー・評価・感想

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クラッシュ(1996年の映画)
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交通事故に遭遇すると性的快感を感じるという数奇な映画人を暴力的に描いた佳作『クラッシュ』

『クラッシュ』は1996年に公開された米国のエロティック心理スリラー映画で、脚本・監督はデヴィッド・クローネンベルグ。J・G・バラードが1973年に発表した同名の小説を原作としています。映画では、自動車の衝突時に性的に発生する、一群の交感神経症に襲われるようになった映画製作者(ジェームズ・スペイダー)のありさまが描かれています。その他の出演は、デボラ・カーラ・アンガー、イライアス・コティーズ、ホリー・ハンター、ロザンナ・アークエット。
映画が公開されると激しい議論が巻き起こり、批評家からはきわめて多様な反応が返ってきました。ある批評家他は映画の大胆な独自性を讃え、別な批評家たちは性と暴力の映像表現を批判しました。カンヌ映画祭で特別公開されて、映画祭の特別審査員賞を受賞しました。この賞は毎年送られないもので、審査員賞からは区別されています。公式審査員のリクエストでのみ送られるのです。(たとえば前年には審査員賞と特別審査員賞が送られました。)審査委員長のフランシス・フォード・コッポラが特別審査員賞は「独創性、大胆さに与えられる」賞であることに触れた際に、議論の多い選考であり、一部の審査員は「きわめて感情的になって棄権」したと述べました。カナダの映画テレビアカデミー賞では6部門で賞を受賞し、クロネーンバーグは監督と脚本家として高く評価されたのです。