ウソツキ(バンド)

ウソツキ(バンド)のレビュー・評価・感想

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ウソツキ(バンド)
9

聴き始めたら抜け出せない沼バンド

「ウソツキ」は竹田(Vo./Gt.)、林山(Dr.)、藤井(Ba.)の3人組王道ロックバンドである。楽曲を初めて聴いた時の感想としては竹田の歌声や歌い方、ストーリー性強めな歌詞、ギターやドラムのサウンドが「BUMP OF CHICKEN」に似ている!というものであった。「ウソツキ」という少しおかしなバンド名は音楽を通して日常を特別なものにしたいという思いから名付けたそうだ。
彼らの楽曲は日常で起こる様々なこと、その中で感じることを誇張する。その違和感も耳なじみのよいポップな楽曲で包み込み、人々の心の中に染み込む。歌詞は単純で語感のよい、リズムのあるものが多く、ストレートに想いをひたすら伝える歌詞が特徴的な『一生分のラブレター』や「愛してるよって君に言ったら、は?意味わかんねえよって言うだろう」という独特なフレーズを持つ『名もなき感情』は、若い世代を中心にTikTokで使用しているのをよく目にする。楽曲が1人歩きした結果、バンドの認知度も徐々に高まっていると言えるだろう。『一生分のラブレター』をはじめとするラブソングのイメージが強いバンドだが、ポップな楽曲の中に日常生活におけるネガティブな感情、後悔、弱さ、素直さ、強さなどが歌詞に含まれていて、多くの人の共感を生む。そのため、聴けば聴くほど彼らの中毒性の強い世界観に引き込まれる。
また、ライブに行けば「決して嘘はつかないバンド、ウソツキです」という理解し難い謎な挨拶で沼へと出迎えてくれる。この違和感満載なバンドが自分にとっていつのまにか心地の良いものになる時が訪れる。この感覚をぜひ多くの音楽好きに、バンド好きに、変わり者好きに味わってほしい。