ジョニーは戦場へ行った

ジョニーは戦場へ行ったのレビュー・評価・感想

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ジョニーは戦場へ行った
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第一次世界大戦を舞台にした反戦映画のカルト的な名作『ジョニーは戦場に行った』

『ジョニーは戦場へ行った』は1971年に公開されたアメリカの反戦映画で、監督はダルトン・トランボ、原作はトランボが1939年に発表した同名の小説です。
出演はティモシー・ボトムス、キャシー・フィールズ、マーシャ・ハント、ジェイソン・ロバーズ、 ドナルド・サザーランド、ダイアン・ヴァーシ。脚本執筆の協力者にルイス・ブニュエルがいますがクレジットされていません。
『ジョニーは戦場へ行った』は公開当初は商業的な成功をおさめず、大多数の観衆からはほぼ忘れ去られていました。
メタリカのミュージックビデオ『ワン』に映画の場面が断片的に組み込まれた時に、本作ははるかによく知られるようになりました。
その結果として『ジョニーは戦場へ行った』は「カルト映画」に祭り上げられることになったのです。
メタリカのメンバーは映画の権利を購入して、追加でロイヤリティーを支払うことなくミュージックビデオを公開し続けています。
ある映画批評家は、本作が反戦の声高なメッセージを訴えていない、まさにその点をもってこの映画を賞賛すると評しています。
「戦争を終わらせるための戦争」(本作が舞台とした第一次世界大戦を指す)がもたらした皮肉な結果をくどくどと説教する代わりに、トランボは人間のレベルに留まっています。
登場人物にある特定のイデオロギーをかぶせるのではなくて、作中人物の行動から反戦のメッセージ性が立ち上るように控えめな演出がなされています。
別な批評家は、作中にカラーの場面がフラッシュバック挿入される演出を指して、演技力に乏しく、また夢の場面はディテールが描かれすぎだと酷評しつつも、モノクロのシーケンスでトランボははるかに抑制的で効果的な演出に成功していると評価をしています。