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信じるものを信じる
ちひろは中学3年生。
成績は平凡で、毎日友達と仲良く楽しく過ごし、新しく赴任して来たイケメン教師に胸をときめかせている至って普通の女の子。
しかし、両親は『ひかりの星』という宗教団体に傾倒していた。
そうなってしまった理由は、産まれた頃のちひろがとても病弱だった、ということだ。
身体中にできた湿疹。
それを治癒してくれたのがひかりの星の『不思議な水』だったのだ。
ひかりの星にはとある儀式がある。
頭にタオルを乗せ、それを水で濡らすのだ。
ちひろは、自分の命を救ってくれたのはこの聖なる水だと思っており、小さな頃から何の疑いもなくこの儀式を行なっていた。
しかし、大きくなるにつれ、次第に不信感が募っていく。
わたしたちはおかしいんじゃないか、と。
本作は宗教を否定も肯定もしていない。
それでいいと思う。
信じるものは、人それぞれ。
何を信じるか、何を信じないかは個人の自由だ。