セルピコ

セルピコのレビュー・評価・感想

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セルピコ
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監督ルメットの力量とパチーノの演技力が結実した異色の犯罪ドキュメント『セルピコ』

『セルピコ』は1973年の伝記的犯罪映画で、監督はシドニー・ルメット、主演はアル・パチーノでした。
脚本はウォルド・ソルトとノーマン・ウェクスラーが担当し、原作はペーター・マースによる同じ題名の作品です。
原作には実在の人物フランク・セルピコが協力しています。
映画の筋書きは、11年間勤務したニューヨーク市警察本部内の腐敗との警官セルピコの戦いをなぞっています。
製作者ディノ・デ・ロウレンティースは映画化権をマースから取得しました。
代理人マーティン・ブレグマンが映画の共同製作者に名を連ねます。
ブレグマンは主演にアル・パチーノを推し、ジョン・G・アヴィルドセンが監督として雇われました。
パチーノは1973年の夏には役柄の準備のために映画のモデルとなった実在のセルピコ本人と会いました。
アヴィルドセンが解任された後、ルメットが代役として雇われました。
ルメットはロケーション場所の選んで撮影に入り、映画製作は7月と8月の2か月間で終わりました。
映画の先行公開当時からアル・パチーノの演技には「身体をぞくぞくさせられる」との賞賛が寄せられ、またルメットの監督技術の「恐るべき強烈さ」も賛美されました。
それほどまでにパチーノとルメットの才能の組み合わせが映画の名前を高めたのです。
別な先行公開時の批評では作品は「知性と情熱とスタイルの勝利」との高い評価を受け、パチーノの演技は「巨匠の領域の演技力」、ルメットは「社会派リアリズムを実現した才能」とそれぞれ評されています。