快楽の漸進的横滑り

快楽の漸進的横滑りのレビュー・評価・感想

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快楽の漸進的横滑り
10

捻りの効いた名画

映画『快楽の漸進的横滑り』は、フランスのアラン・ロブ=グリエ監督の作品で、1974年に公開されました。
主人公の娼婦がその仲間を殺したかどうか突き止めようと刑事が捜査します。主人公はやっていないと主張しますが、刑事は疑いを解きません。刑務所にやってくる修道女にも主人公は非難されますが、神父は主人公を諭しに来ながら却って関係を持とうとしてしまいます。また弁護士の女性が彼女を助けようとやってきますが、その弁護士が娼婦仲間に似ていて、当時の状況を再現しなさいと弁護士に言われて行っているうちに殺してしまいました。そこへやってきた刑事が犯人が名乗り出たので無罪になったよと言いますが、この殺人の現場を見て吃驚して、最初からやり直しだと叫び、映画は終わっています。
この作品はこのようにとても捻りの効いた展開を持つ映画です。真実を探る難しさのようなものも見た人に感じさせますね。
またこの作品は非常にエロティシズムを感じさせる作品で、ショッキングなシーンもあるので公開当時は上映禁止にした国もかなりあったそうです。しかし冷静に見れば戦後芸術の最大の発見であり、そのメインテーマとなっていった性の主題を真正面から扱った優れた映画だといえましょう。