映画を作ることに関する悩みを率直に表現した映画
映画『8 1/2』はイタリアの映画監督、フェデリコ・フェリーニが撮った作品で、1965年の公開当時から問題作と言われ、傑作とされてきました。
この作品はどこが魅力的なのでしょうか?
それは映像の魔術師と呼ばれたフェリーニらしく夢幻的なシーンであり、当時映画作りに悩んでいた彼の心情を描いた「映画に関して描いた映画」というそれまでの映画になかった主題の面白さでしょう!この作品は、即ちメタ映画だったわけです。この映画の前衛性は時代を超えてフレッシュですね!
主人公グイドを演じたマルチェロ・マストロヤンニは当時人気絶頂だったので、演技に勢いがあり、それもこの作品の魅力の一つとなっています。そしてスウェーデンの大スター、アニタ・エクバーグもこの作品において重要な役を演じていて、この映画を魅力的にしているのも特筆すべきですね!
この作品のなかでフェリーニは主人公が見る夢を描いていますが、その描写はその映画監督の悩みを巧みに反映していてとても見事です。実は映画のなかで夢のシーンを撮るのはとても難しいのですが、この作品ではとても自然に描かれていて見る者に違和感を抱かせません。そのシーンのなかで監督は子どもに戻っているのですが、フェリーニは他の作品同様、子どもを巧みに使っています。これも見逃されがちですが、忘れてはならない点です。