ジャパン・ロボット

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ジャパン・ロボット
8

日本製ロボットが頑固なインドのオジサンを介護する!?

過保護すぎる父親の愛故に、能力はあるものの、南インドの田舎の自宅を離れられず、求職中の主人公に、またとない好条件の仕事のオファーが入ります。しかし、勤務地はロシア。これまでのように父親の反対にあいます。しかし、自分のキャリアとは?これまで努力して獲得してきた経験や資格を父親のために捨ててもいいのか?葛藤した挙げ句、そこに就職することにした主人公。とはいうものの実際問題、高齢の父親の日常生活などの心配は尽きません。なんといっても父親は洗濯機やテレビを嫌うほどのテクノロジー嫌いなのです。知り合いの女性をお手伝いに雇うも、ガンコな父親と折り合いがつかず、途方に暮れる主人公。そこで、就職した会社の日本製介護ロボットをモニターとしてレンタルすることにしました。この介護ロボット、動きが緩慢で、なんとも人間臭く、失敗を繰り返すも何故か憎めない。ロボット故の人間社会のルールにとらわれない無邪気な振る舞いに、忘れていた大切なものを思い出し、固く閉していた父親の心も絆されていきます。ここまでなら普通の感動作なのですが、困ったことに父親はどんどんこの介護ロボットに入れ込んでしまうのです。なんとも可愛いこの日本製介護ロボットにクンニャッパンという名前までつけ、南インドの伝統的な服であるドーティーまで誂える傾倒ぶり。しかしクンニャッパンはモニターとして試験的に運用されていたものなので、返却をしなければなりません。ロシアから帰国した息子に「お前の替わりがいないように、こいつ(クンニャッパン)にも替わりはいない」とまで言うのです。愛とは、キャリアとは。そして義務とは。人間とは、一体何なのでしょうか。