魔女の下僕と魔王のツノ

魔女の下僕と魔王のツノのレビュー・評価・感想

魔女の下僕と魔王のツノ
9

アニメ化して欲しい!

もち先生の大人気漫画です。見やすい可愛い絵面と、コミカルな展開。笑いどころのテンポもよく、クスッと笑ってしまうこともしばしば。でも、この展開の軽妙さにうっかり騙されてしまいますが、扱うテーマは意外と重くて真剣。それがまた、嫌みでもなく押し付けがましくもなく、全体的に優しさの漂う作品です。
タイトルからも分かる通り、魔法のある世界を前提にしたファンタジーです。この手の設定の漫画やアニメは、世界観の設定が作品によって結構バラつきがあるもので、詰めの甘い設定の作品も少なくなく、「魔法でコレは出来るのにアレは出来ないの?」と、突っ込みたく鳴るものも多々。ですが、こちらの作品は細かな設定をキチンと積み上げていて、矛盾がないです。こういう部分で手を抜いていないので、安心して物語に没入できます。
アニメになってくれたら、ヒットすると思うんだけどなと非常に残念です。魔法モノのアニメが溢れすぎて、視聴者は食傷気味でしょうから、採算が取れるかが難しいのでしょうか。物語の中心に流れるテーマは、今の多様性の世の中に合致しているし、多様性の1つの解としても、見るべきものがあります。ぜひともたくさんの人に、幅広い年代で読んで欲しい作品です。

魔女の下僕と魔王のツノ
10

前向きな気分になれる作品

キャラクターや衣装などがかわいくてとても読みやすい作品。
物語の序盤はわかりやすいファンタジーです。
魔女、ヒーロー(魔女の下僕:魔物だけど元人間)、ヒロイン(魔女の魔法で女の子になった男の子)が魔王討伐を目指します。
また、ヒーローのライバルとなるヒロインの幼馴染(男の子)や、兄(自分の魔法で姉になったりする)、魔王の配下の魔物たちも登場。
魔法の呪文もたくさん出てきますが元の言葉が分かる簡単なアナグラムですので解読するのも面白いです。

基本はコメディで魔王もゆるキャラなデザインですが物語がすすむにつれ、魔王討伐の理由、ヒーロー、ヒロインの過去が明らかになっていきます。

物語の中には、ジェンダー、宗教などのテーマもあり、つらいシーンもありますが、明るく前向きで個性的なキャラクター達が少しずつ前に進んでいく姿はつらいだけではありません。
それぞれの考え方や、価値観を押し付けることなく受け入れて進む物語が新しい物の見方を発見させてくれます。
物語の展開はゆっくりですが次々と予想できない事が起こり読んでいて飽きることはありません。
次の巻、次の巻、と手が伸びていきます。
また、二度、三度と繰り返し読んでいますがそのたびに新しい発見があり、何度でも読める作品ですので是非おすすめです。