THX 1138

THX 1138のレビュー・評価・感想

THX 1138
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天才監督ジョージ・ルーカスの劇場デビュー作の実験映画『THX1138』

『THX1138』は1971年に公開された米国の社会派SF映画で、ジョージ・ルーカスの劇場映画監督デビュー作です。
本作はディストピア的な未来を舞台にしており、大衆はアンドロイドの警察と感情を抑圧するドラッグの使用によって管理されています。
製作はフランシス・フォード・コッポラ、脚本はルーカスとウォルター・マーチ。
出演はロバート・デュバルとドナルド・プレゼンス。
『THX1138』はルーカスの学生映画『電子的迷宮: THX1138 4EB』から発展的に製作されました。
ルーカスはこの学生映画をカリフォルニア州立大学映画学校在学中に製作しています。
学生映画から劇映画への発展的な製作はワーナーブラザーズとアメリカンゾエトロープの共同事業として運営されました。
本作のノベライゼーション作品はベン・ボナによって1971年に発表されました。
公開当初の収益は予想された通りではなく、作品としての評価もさほどではなかったのですが、1977年にルーカスが『スターウォーズ』で成功をおさめた以降は批評家の評価も好転し、カルトに近い濃密なファン層を獲得できました。
本作のディレクターカット版は2004年に公開されました。
『THX1138』がチェイスドラマでも社会派演劇でもない点が、逆に本作の持ち味になっています。
光、色彩、音響効果の生み出す感情効果ーこれが弱冠25歳の新人監督が最初の劇映画で成し遂げたことであり、しかも『2001年宇宙の旅』の宇宙船半分だけの低額予算でサンフランシスコでのロケで成就した「成果」なのです。