不滅の女

不滅の女のレビュー・評価・感想

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不滅の女
10

謎の女性

『不滅の女』はアラン・ロブ=グリエ監督による最初の映画作品です。
彼はフランスの作家で、『嫉妬』、『消しゴム』などの作品で仏文壇に賛否両論を巻き起こし、いわゆるヌーヴォーロマンを代表する作家として盛名を獲得したのち、小説を書く一方で映画のシナリオを書き始め、さらに自らメガホンをとって作品を撮り出しました。
『不滅の女』はふとしたきっかけで謎の美女と交際するようになった男性が彼女の不可思議なところに惹かれてドライブしていた際に彼女が自死ともとれる死に方をしたことにショックを受けました。
しかしその後、彼自身も同じような死に方をして映画は終わっています。そのためこの作品は謎をはらんだまま観客を宙吊りにしてしまうのです。
二人の中心人物以外にも、不自然なほど眼に険のある女性が出てくるなど、この作品はとても不思議な映画だと言えるでしょう。謎の女性と親しげに挨拶している年配の男性も女性の自死の原因と関係ありそうですが、そのあたりもまったく謎に包まれているところがこの作品の面白さです。
言ってみれば、あらゆる因果関係の追究をはねのけてしまう点が、それまでのほとんどの映画をあざ笑うかのようです。
さらにこの映画はモノクロームなので、光と影がクッキリしていて、それが作品の謎めいた雰囲気にピタッとマッチしています。