戦争と平和(1967年の映画)

戦争と平和(1967年の映画)のレビュー・評価・感想

New Review
戦争と平和(1967年の映画)
8

文豪トルストイの畢生の超大作を壮大なスケールで描き切った巨匠ボンダルチュクの会心の一作『戦争と平和』

『戦争と平和』は1966年から67年にかけて公開されたソビエトの戦争劇映画で、共同脚本と監督がセルゲイ・ボンダルチュク。原作は文豪トルストイが1869年に発表した長編小説『戦争と平和』です。映画は4部構成で、ボンダルチュクは主人公のピエール・ベズーホフ、ブチェスラフ・ティクホーノフがアンドレイ・ボルコンスキ伯爵、ルドミラ・サベリェーバがナターシャ・ロストバを演じています。この映画は、モスフィルムのスタジオで1961年から67年にかけて撮影されました。ソビエト当局と赤軍から絶大な支援を受けており、数百頭の馬とエキストラ役の数万人の兵士が動員されました。829万ルーブルに及んだ製作費は(1967年の換算レートで921万ドル)ソビエト連邦が費やした映画製作費の中では最高の金額です。公開と同時にソ連国内では大成功を収め、おおよそ1億3500万枚の鑑賞券が売れました。映画批評家の評価は概ね好意的なものでした。『戦争と平和』はモスクワ国際映画史でグランプリを、米アカデミー賞では最優秀外国語映画賞を獲得しました。
映画の第3部「1812年」を眺めてみましょう。1812年、ナポレオンがロシアに進行します。ナポレオン率いる仏軍に負け続けてきた露軍はクトゥーゾフ将軍を司令官に戴きます。モスクワを目標とするナポレオン軍を迎撃するために、クトゥーゾフはボロジノで祖国の行く末を賭けた決戦の布陣をします。ナターシャとの愛に破れたアンドレイ・ボルコンスキー伯は祖国愛に燃えて自己の全てを賭けて出征し、ピエール・ベズーホフはこれまでの無益な人生を清算するために1人で戦場に赴くのでした。