殺人に関する短いフィルム

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殺人に関する短いフィルム
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個人による気ままな殺人と国家による恣意的な死刑執行の不条理さを描いた『殺人に関する短いフィルム』

『殺人に関する短いフィルム』は1988年公開の劇映画で、監督はクシシュトフ・キエシロフスキー。出演はミロスワフ・バカ、クシシュトフ・グロビシュ、ヤン・テサシです。脚本はクシシュトフ・キエシロフスキーとクシシュトフ・ピエシェヴィッチ。映画はポーランドのテレビシリーズ『デカローグ』からスピンアウトした企画です。ワルシャワが舞台で、映画の中では、個人による意味のない暴力的な殺人と国家による冷酷で計算された死刑執行が比較されます。この作品は1988年のカンヌ映画祭で審査員賞を受賞しました。
ウラジマール・レコウスキ(ヤン・テサシ)はワルシャワの中年のタクシー運転手で、自分の仕事と仕事柄の自由さ加減を楽しんでいました。彼は利ざやを稼ぐために他人への配慮を無視することが多く、またこの体重超過でがさつな男は若い女性を眺め回すことが好きでした。ヤツェック・ラザル(ミロスワフ・バカ)は21歳のさすらい者で最近田舎からワルシャワに出てきて目的もなく市街を彷徨っています。レコウスキは他人に迷惑をかけてほくそ笑むという意地の悪い性格でもありました。例えば、橋の上から下を走る車に向かって大きな石を落として事故を起こさせたり、老女が鳩に餌を与えているときに鳩を驚かせて追い払ってみたりします