10月のミサイル / The Missiles of October

10月のミサイル / The Missiles of Octoberのレビュー・評価・感想

10月のミサイル / The Missiles of October
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第3次世界大戦前夜・キューバ危機時の米国政権内おける駆け引きを再現した迫真の政治ドラマ『10月のミサイル』

『10月のミサイル』は1974年公開のテレビ放映用に製作されたドキュメンタリードラマで、キューバ・ミサイル危機を扱っています。ドラマのタイトルは1962年に発表されたバーバラ・タックマンの『8月の砲声』を連想させます。その作品で、タックマンは大国の間での足並みの乱れが対立国を平和裡に退出させる方途を失わせ、第1次大戦開戦に至った経緯を描き出しています。タックマンの本をケネディは危機の直前に読了しており、戯曲の中では、彼はその本で物語られた事件をソビエト連邦との危機と比較しています。お芝居は2時間半の戯曲で、セットや衣裳が凝った作りになっていて、登場人物たちの会話や感情の動き、判断形成の過程が強調されるように演出されています。
物語には、世界が熱核戦争に瀬戸際まで行って平穏に戻るまでが描かれています。主な登場人物は、ジョン・F・ケネディ大統領、ロバート・F・ケネディ法務長官、ニキタ・フルシチョフ首相、アンドレイ・スティブンソン国連大使、ディーン・アチソン前国務長官です。
『10月のミサイル』は、キューバ危機の際のケネディ政権内に見られた不一致・対立が最終的に和解に至る過程を米国の一般国民に広く知らしめました。当時は、強硬論として発見されたばかりの半完成状態にあるソ連製ミサイル発射基地を掃討するためにキューバ島への侵攻を唱える一派もあったのです。