ラッキー / Lucky

ラッキー / Luckyのレビュー・評価・感想

ラッキー / Lucky
10

静かな人生の終え方を考える

2018年の映画『Lucky』は独立不羈と人生を歩んできた一人の老人「ラッキー」とその住む小さな町でのとりとめのない日常の中で、ある切っ掛けから人生の終わり方を考え始める主人公を通してその日常の変化と人生の終わり方とはなんなのかを考えさせらる作品です。
見るからに年老いた主人公を演じるのは、正に相応しい配役である「ハリー・ディーン・スタントン」です。名脇役として知られる彼の演技はもちろんのこと、作中でのあるワンシーンは彼が海軍にいたときの実話をもとにした感動のシーンもあります。そしてこの作品はハリーの遺作となり、悲しくも完成された作品となっています。
朝起きて、ストレッチをしてコーヒーを飲み、サボテンに水をやり...
ラッキーはそんな日々のルーティンの中に緩やかに変化が生まれ、気を失い病院に運ばれ、健康でありながら死の近づくことを自覚し、陸亀に逃げられた友人と友人に遺産相続を相談される弁護士、元軍人の旅行者等多くの今までにいなかった物事に直面し、人生の有義さとその意味について少しずつ迫っていきます。
何気ないラッキーの日常、この作品には大きな悲しみはなく終わりまで優しい気持ちで観ることができます。物語の中盤から終盤にかけての主人公の選択はとても穏やかながら感動できるかと思います。
一人の老人の日常を描いた作品で、大きく物事が動くこともアクションシーンも無いのでそういった作品が好きな方にはオススメできませんが、暇な時ゆっくりとリラックスしたい時等には是非この作品を観ていただきたいです。