ナチス第三の男

ナチス第三の男のレビュー・評価・感想

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ナチス第三の男
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ナチス統治下のヨーロッパでユダヤ人虐殺を指揮した人物の生死を描き切る『ナチス第三の男』

2017年公開の『ナチス第三の男』(仏語原題はHHhH)は、英仏ベルギー合作の伝記映画です。監督はセドリック・ヒメネス、キャストはジェイソン・クラークやロザムンド・パイクなどです。ヒトラー統治下のドイツでユダヤ人大量殺戮の蛮行を指揮したランハルド・ハイドリッヒの生涯をその暗殺まで描いた作品。原作者はローラン・ビネ。ゴンクール賞最優秀新人賞を受賞した作家で、小説作品の邦題は『HHhHプラハ、1942年』として知られています。
ドイツ海軍中尉ラインハルド・ハイドリッヒは海軍を放逐されます。彼は海軍高官の令嬢と交際し婚約までしていたのですが、結局別れてしまったからです。その傷心のハイドリヒが巡り合ったのが将来の妻となるリナ。リナはドイツの未来を、興隆しゆく国家社会主義労働者党とその指導者ヒトラーに見ていました。リナはハイドリヒをハインリヒ・ヒムラーに紹介します。ヒムラーはハイドリヒの資質を見抜いて、国家親衛隊指導者の新設の保安部長に任じます。ハイドリヒは「運動」の敵、共産主義者らを容赦無く拷問して殺害しつつ、出世街道を登り詰めます。ハイドリヒはベルリン、ウィーン、プラハと任地を転じてユダヤ人を「排除」するという極秘任務を拝受します。