ジャッカルの日

ジャッカルの日のレビュー・評価・感想

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ジャッカルの日
8

ドキュメンタリータッチでドゴール暗殺を描く政治スリラーの傑作『ジャッカルの日』

1973年公開の米英仏合作映画『ジャッカルの日』は、フレッド・ジンネマンが監督し、エドワード・フォックスが主演した政治スリラー映画です。1971年に刊行された同名の小説(著者はフレデリク・フォーサイス)を原作としており、映画では1963年の夏に仏大統領シャルル・ドゴール暗殺のために雇われたプロの暗殺者「ジャッカル」(コード名だけが知られている)の行動の軌跡がドキュメンタリータッチで描かれています。映画は全編ロケーション映像で構成されていて、パリを含む欧州各地の風景が舞台となっています。また、暗殺者ジャッカルの使用する特注品の狙撃銃などは原作通りに忠実に映像化されています。作中に登場する欧州の各国人がほとんど英語を話しているのはご愛嬌というべきところかもしれません。エドワード・フォックス演じるジャッカルは長身で物静かな容貌をたたえながらも眼差しのみ鋭い人物として造形され、他方で一見凡庸なルベル警視が粘り強くジャッカルを追い詰めていくのとは好対照をなしています。映画『ジャッカルの日』はフォックスの出世作となりました。もともとは暗殺者ジャッカルには映画007シリーズでジェームズ・ボンドを演じるロジャー・ムーアが予定されていましたが、『007死ぬのは奴らだ』に出演することが決定していたため、急遽当時まだ無名だったフォックスがノミネートされたという経緯があります。