ムーンライト・マイル(映画)

ムーンライト・マイル(映画)のレビュー・評価・感想

ムーンライト・マイル(映画)
8

真実を言えないことに共感できる。

婚約者を発砲事件で失った青年ジョーが、彼女の両親の元を訪れる話です。彼女の父は、婚約者が一緒に娘の死を悲しんでくれることが喜びで、彼女が生きていたときに計画していたように、一緒に店をやろうとか言ってて、でも実はジョーには、両親に言えない秘密があり…という話です。ジョーはほんとはもう彼女と別れていたんだけど、でも彼女のことは友達だったから悲しいは悲しいしととてもつらい立場だったと思います。彼女のことを語り合おうとする両親を前にそのことを言い出せなかったのも頷けます。そして、彼女の両親が娘の死という大きな喪失感を娘の将来の結婚相手で埋めようとしたのもすごくわかることなので、見ていて切なかったです。主演のジェイク・ギレンホールさんはちょっと気弱そうで、なかなか真実を言えない青年役がとてもよく似合っていました。そして、彼女の両親はダスティン・ホフマンさんとスーザン・サランドンさんというベテランコンビ。どちらもすごく演技がうまくて、見入ってしまいます。この話は監督の実体験が基になっているというのも、この映画を味わい深いものにしています。他人の勝手な行動で大切な人が死んでしまうだなんて、ほんとうに許せることではありません。監督としても、物語を作らなければ浄化できないものがあったのでしょう。大切な人の死とそれを乗り越えるとはどういうことなのかというのを教えてくれた映画です。