栞と紙魚子

栞と紙魚子のレビュー・評価・感想

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栞と紙魚子
8

女子高生コンビ・栞と紙魚子が送る、ちょっと「不思議」なコメディホラー

「西遊妖猿伝」「妖怪ハンター」シリーズで有名な諸星大二郎先生が手がけるホラーコメディ!
どこかに存在する町・胃の頭町。そこには人外のモノたちが日常に溶け込んで暮らしており、不思議な出来事が起こることなど日常茶飯事なのです。怪奇な出来事に興味津々で、友人達から「神経が数本抜けている」と言われる女子高生・栞(しおり)と、その友人である古本屋の娘で、稀少本のためなら命だって惜しくない紙魚子(しみこ)。
ある時は生首を持ち帰って世話をしたり、幽霊と噂される生物を捕まえたり、桜の下で危うく死体と花見をしたり…と、二人は怪奇な日常を送ります。普通ならびっくりするところでしょうが、胃の頭町の住民はそのくらいで驚くことはありません。主役の栞も紙魚子も、人外のモノ達が引き起こす不思議な出来事に巻き込まれながらも、彼女たちはそれを「日常」として受け入れているのです。胃の頭町には、様々な住民が暮らしており、彼らの存在もまた物語の魅力の一つになっています。栞の飼い猫でおじさんに変身することができるボリス、ホラー小説家の段一知(だんいっち)先生、異世界からやって来た段先生の奥さん、二人の子供のクトルーちゃん、段先生に一目惚れして胃の頭町へやって来た新進気鋭の女流詩人菱田きとら、異形の生物を飼うゼノ夫人などなど魅力的なキャラクターがたくさん出て来ます。
ホラー要素とコメディ要素がちょうど良く織り混ざっているのでまったりした、ちょっと刺激的な作品を読みたい!という方におすすめです。クトゥルフ神話に詳しい方なら、作中にちらほら出てくるクトゥルフ要素にニヤリとくるかもしれません。