欲望という名の電車

欲望という名の電車のレビュー・評価・感想

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欲望という名の電車
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戯曲作家テネシー・ウイリアムスの名作を監督エリア・カザンの職人芸が見事に映像化した『欲望という名の電車』

『欲望という名の電車』は1951年の米国劇映画で、1947年にピュリッツァー賞を受賞したテネシー・ウイリアムスによる同名の戯曲を原作としています。米国南部の女性、ブランシュ・デュボアは何回かの個人的な不遇を経験した後で貴族的な生活を諦めてニューオーリンズのアパートに妹と義兄弟との慎ましい生活を求めます。ブロードウェイの舞台がキャストそのままで映画として製作されましたが、幾つかの変更も行われています。テネシー・ウイリアムスは脚本執筆にあたってオスカー・サウルやエリア・カザンと共同作業を進めました。ブロードウェイの舞台製作を監督したエリア・カザンはモノクロ映画である本作も監督しました。マーロン・ブランド、キム・ハンター、カール・モールデンらのキャステングは本来のブロードウェイ版のままです。ジェシカ・タンディはブロードウェイ版ではブランシェ・デュボア役を演じていましたが、映画版ではロンドン公演時に同役を演じたヴィヴィアン・リーがスター性の故にキャスティングされています。映画公開時には、演劇界では無名に近かったマーロン・ブランドがハリウッドの主要な映画スターとして名声をあげ始めアカデミー助演男優賞にノミネートされました。