折重由美子

折重由美子のレビュー・評価・感想

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折重由美子
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魅惑のクラビオーラ奏者である折重由美子さんの魅力

折重由美子さんは、元々エレクトーンの奏者として河合楽器の系列で演奏活動をしていました。ジャズピアニストとしても活躍中です。「クラビオーラ」という木管鍵盤楽器と出会い、その暖かな包み込むような音色に魅せられてクラビオーラの奏者としても知られるようになりました。ちなみにクラビオーラとはドイツのホーナー社が開発・製造した試作品楽器で、既に製造中止となっていますが、折重さんは自身で楽器メンテナンスをしながら世界でも数少ない現役奏者として活動を継続しているのです。中島みゆきの「糸」をカバーした作品も折重さんのレパートリーの一つにあり、中島のオリジナルにはない包容力のある温かな透明性の音色を紡ぎ出しています。折重さんが東京に来てライブを行われる折りには欠かさず通っているのですが、穏やかな曲だけではなくて躍動感の溢れるダイナミックな曲も演奏されるので、わたしにとっては大きな驚きです。『風の毛布』は、脳内のアルファー波を呼び起こすような穏やかな曲想のアルバムです。CDを聴きだすと必ず寝落ちするというジンクスを持った作品集なのですが、平穏なモチーフが折重さん本来の持ち味のような気もしてなりません。今後も成長されていくことが楽しみな音楽家です。